(小野先生) |
今、挙がった対策・行動の中で反対意見のあるものは |
(北陸:大橋) |
M市への移転は反対。我々は地域の基幹産業であり、地域のために事業をし、地域に育てられてきたという使命感がある。公共事業は官民が一体となって生産機能を果たす構造であって、今のしくみがM市移転に有利に思えても、いずれはあるべき姿、制度に戻ってくると思っている。そうであればY市に基盤を置くべきである。 |
(近畿:前田) |
M建設との合併で本社はM建設本社、青年土建本社はY支店として存続させる。Y支店は民間建築をメインとして営業していくのでY市と縁が切れるのではない。 |
(北陸:大橋) |
Y市は新しい市長で安ければいいという制度で行っているがいずれ是正されると思っている。私は使命感を大事にしなくてはいけないと思っている。Y支店では入札参加できないし、北陸でいえば除雪作業、他の地域であれば災害復旧にいち早く対応することが大事であり、そういう使命感を引き続き持ち続けることが社員のモチベーションを維持することになるのではないか。 |
(小野先生) |
大橋さんは仮に提携するとしても合併ではなく、それぞれ独自性を持って資本提携なりをすると考えるのか |
(北陸:大橋) |
アライアンス(企業連合)というような考え方で望むべきである。 |
(小野先生) |
他に追加の意見のある方は |
(四国:冨田) |
この程度の会社で共同経営は無理である。オーナーは一人が良い。建築と土木は同じ建設業でありながら共通点が少ないということもあり業務提携で止めておいた方が良い。また、下請け工事の積極受注とあるが公共工事が主体とならざるを得ず非常に単価が厳しい状況で赤字になる可能性が高いので、小さくても地元の民間工事をして公共に頼らない仕事を求める方向が良いのでは。現場の給料は現場が稼ぐ。一般管理費は多角化をしてでも間接費を減らしていくようする。私はしばらくは公共土木工事は地域に対するボランティアとなる可能性が高いと感じている。 |
(小野先生) |
合併問題とM市への移転について他の意見は |
(北海道:工藤) |
自社の有利な合併を目指し、M建設とは合併しない。 |
(東北:平野) |
合併については各社の技術レベル、給与体系、福利厚生面の違い等かなり吟味して慎重に取り扱わないといけない。 |
(関東:山本) |
建設業者で合併して成功した例は聴いたことがないので反対。 |
(中国:原) |
地方の建設業は社長が体を張って会社を代表しているので、単純に合併は難しい。慎重に行うべきだ。 |
(九州:辻) |
民間建築主体の会社と公共土木主体の会社は文化的に違う部分があるので融合は難しいのでは。人的相乗効果も難しいのではないかと思う。 |
(中部:河津) |
持ち株会社を設立する。個々の会社の企業風土を保ちつつ、お互いの営業エリアにメリットがある。両者がWIN-WINの関係を築く必要がある。将来的には多角経営を持ち株会社のもとに行えるのではないか。 |
(小野先生) |
下請け工事の積極的受注については慎重に考えるべきではないかという意見に対して提案者としては |
(近畿:前田) |
下請け工事では予算の合わない工事は請けなければいい。請けたとしても当初の条件と合わなければ交渉して値段を上げてもらうとか、工事を打ち切ればいい。下請け工事は儲からないという考えは捨てないといけない。公共土木だけでなく民間工事でも請ければよい。 |
(四国:冨田) |
地域の違いがあるのでは、高松ではコストだけの受注競争になっているので利益の出る工事はない。 |
(北陸:大橋) |
元請としての能力の高度化が求められており、同じく下請でも高度化が求められている現状では領域が違ってきているのではないか。闘う領域をどちらかに絞っていく。私は元請で勝ち抜いていく戦略が正しいのではないかと考えている。 |
(小野先生) |
その他に反対する意見は |
(関東:山本) |
多角化は慎重に行うべきでは。生業として建設業を営んでいくにはコストダウン、社内のスリム化、物造りの大切さをどう表現していくか等が大事ではないか。 |
(北海道:工藤) |
経営事項審査において技術者は置いとかないといけない、経営体質を考えると財産は持たないほうがいいとか考えるとお金が必要である。それを取れるかわからない、また、取っても儲かるかわからない工事を待っているわけにはいかない。だから安易ではなくしっかりとした計画の基に多角化をしていく必要があるという提案である。 |
(小野先生) |
本業を続けていくには何で稼ぐにも利益率を上げ、Y評点をあげていかなければならないということを考えると使える遊休資産を活用すべきでないかという考えですね。山本さんいかがですか。 |
(関東:山本) |
この会社は自己所有地があるので可能ではないか。経審があるので安易にリストラはできないこともあり、余剰人員で人材派遣会社をやるのも良いのではないか。 |
(小野先生) |
多角化について他の意見は |
(東北:平野) |
この会社はフリーキャッシュフローとして3億円程あるので、簿外でSPC(特別目的会社)を作ったらどうか。 |
(北海道:工藤) |
まだ余力のあるうちに経営者自らそういう勉強をしてやっていく必要がある。 |
(小野先生) |
経営事項審査が足かせとなっている現状が見て取れるが、どう対応していくか |
(近畿:前田) |
経審には非常に問題がある。待機人件費25%というのは企業ではなく建設業以外では考えられない。粉飾は赤字決算が不利になるから起こる。過去十年間の納税額等とかも評価してほしい。 |
(北陸:大橋) |
中小と大手が同じ手法で行われていいのか。来年大きく変わるということなので期待している。青年土建としては生き残るために1000点が必要であれば、それを目指すのはやむを得ない。 |
(関東:山本) |
経審の目的がわからなくなっている。建設業許可、経審、総合評価それぞれフィルターの役割で整理が必要なのでは。 |
(東北:平野) |
経審は中小には苦しい制度で、多角化で初期投資をするとガタガタになる。単年度決算ベースにしてもらい、会計士のお墨付きがあれば評価してもらえる様な制度にしてほしい。 |
(北海道:工藤) |
過去からの資産が負担になるような経審では困る。もっと技術力等を評価する制度になってもらいたい。 |
(中国:原) |
経審が企業にどういう会社になりたいのか問いかけているのではないか。地域に投資すると経審ではマイナス点になるような実状は汲んでほしい。 |
(四国:冨田) |
地方の小さい会社を評価するには人為的操作で点数の上下がありすぎる。完工高を勘案しないシステムが必要である。 |
(九州:辻) |
経審が絶対的評価基準になっているようで怖さを感じる。技術力とかの能力とかが評価されるシステムが必要ではないか。 |
(中部:河津) |
改正され正確な評価には近づいているような気がする。主観的点数を加味して評価してほしい。 |
(中部:中村) |
大手と地元中小と同じ土俵で評価することに無理が生じる。今度の改正にはより実態に合うように期待している。 |
(小野先生) |
完璧なシステムはないが、あるシステムに合わせていかなければならない。次の発展につながるシナリオに舵をとっていくのが経営者の責任である。明日からの自分の会社の参考になればこのセッションの目的が達成されたことになる。 |