全国建設青年会議
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趣旨説明

大会テーマ
今、経営を考える
−「創意」と「技術」で未来を切り拓く−

開催趣旨
中部建設青年会議 杉山 文康 地方の建設業を取り巻く環境は、公共事業費の大幅な削減、建設投資と建設業者数のバランスの崩壊、更には相次ぐ談合事件を契機とした一般競争入札の拡大とダンピング受注の増加など極めて厳しいものがあり、まさに建設業淘汰の時代の本格的到来と言っても過言ではない状況になりつつあります。しかしながら建設業は社会資本整備や維持管理の担い手という役割ばかりでなく、災害時の緊急出動や応急復旧などを行う地域防災のメインプレーヤーであり、また、雇用等を通じて地域経済を支える重要な産業でもあります。地域の建設業の疲弊は、すなわち地方の地盤沈下を更に加速化させ、国土の荒廃をも惹起しうるのではないでしょうか。

 さて、建設生産物は国民の生命・財産に重要な影響を与えるものであり、また予定生産物としての性格をもつことから、建設業者がその品質の確保を図る体制づくりを行なうことは不可欠であり、併せて総合的なコストの縮減や生産物の性能、機能の向上、或いは環境の維持といった社会的要請にも対応できる技術力の蓄積も求められています。また、それらを担う優秀な技術者や技能者の育成・確保に注力していく必要もあるでしょう。折しも「品確法」の制定により、各発注者で総合評価方式を活用した入札・契約制度が導入されつつあり、公共工事の品質確保を図るためには、技術的能力を有するものによる競争が実現されるべきであるとの基本的認識の下、「技術」は受注競争を勝ち抜くための重要な要素となってきています。

 我々は、企業経営者としての「創意」を働かせながら、経営の要素として絶対不可欠な「技術」に着目しつつ、この厳しい環境を乗り切る強い企業を目指さなければなりません。地域の良質な建設業者である各社「個」が強い企業であってこそ、強い建設産業を形作り、そのことにより安全・安心で活力ある地域の一端を担うことができるものと信じています。その使命感に対する「決意」と「誇り」を胸に刻みながら、いたずらに将来を悲観するのではなく、現下の厳しい経営環境において改めて原点に立ち戻って経営を見直す必要があるのではないでしょうか。
本年の全国会議では、設立10年という節目でもあり、先ずは全国建設青年会議が過去の活動によって社会に発信してきた成果を振り返り、地域建設産業のあるべき姿や本青年会議の担うべき役割といったものを再確認したいと思います。その上で、「個」の企業がその地域建設業としての使命を果たすべく、経営革新を行なうための様々な方法論やヒントを提供することを本会議の目的とし、そのために地方の中小建設業者をモデル化した企業の経営についてケーススタディを通じてシミュレーションし、具体的かつ活発な経営論議を喚起したいと思います。

 言うまでもなく、従来の事業展開を前提とした経営では企業として存続していくことは困難であり、企業経営の論理的思考を養いながら、本業での生き残りをかけた深耕策、競争力のある組織のあり方やコストの削減策、地域こそがキーワードである地方の建設業者の地域との関わり合い、といった課題について、そのあるべき姿や考え方、或いは多様な選択肢を、参加者一人ひとりがつかんでいただくことを心より念願します。